持続可能なまちづくり 高齢者や障がい者の安心とは 公的責任を考える

 日本はかつてない人口減少社会を迎えています。減少する税収、増大する社会保障費という将来見通しの中、今後は少子高齢化の人口構成と、急速な単身世帯の増加が予測され、財政と共に具体的な対策が急がれます。生涯未婚率の増加など家族や地域のあり様は、今後も変化を続け、誰がどう支えるかが重要な課題です。そうした中、地方自治体では、必ずといって良いほど、高齢者や障がいのある人が安心して暮らせるまちづくり というフレーズが出てきます。
では、実際にどのような社会保障であるかという点ですが、次のような構図になっています。
まず、家族です。そして支援者となる事業者、その背景に介護保険制度や、障害者総合支援法に基づくサービス認定を行う行政があるという形です。私が指摘しているのは、まず社会保障が家族ありきの制度では、支援の届かない人が必ず出てくるであろうという問題です。ヤングケアラー(若年介護者)が顕在化したことも、こうした構図が背景にあるのだと考えます。行政だけで解決できない社会課題は今後も浮上します。地域の住民自治やNPOなどの市民団体を活性化し、お互いに助け合う支援体制の仕組み作りが、求められています。

令和4年第1回定例会において、代表等質問の一部でもこの点を取り上げ質問をしました。
質問 本人を中心として構築される支援ネットワークについて伺う。ケアをする側に何かあった時の問題を想定しての支援の構築なのか。どのような安心につながる希望やセーフティネットが担保されるのか。

答弁 ハイリスク登録など事業者にも協力支援を呼びかけ、緊急時の場合を想定し、対応をしていく。また日頃から緊急時に至らないよう支援体制を構築してくことが重要だと考えている。

 生存権に関わる公的責任は極めて、自治体には重いものです。しかし、家族を基盤とする社会保障だけでは持続可能な安心したまちづくりにはならないはずです。安心の決め手は、家族扶養制度の中の弱者に注目することではないでしょうか。障がい者の本人と家族の高齢化を筆頭に、今始まった問題ではないのです。家族中心で解決するという制度化で運用されていることに危機感を覚え、課題を解決できるまちづくりへの実践が求められています。