行政計画とその目的、そしてパブリックコメントの活用

 どの自治体にも市政の基本方針とする総合計画があります。その総合計画を細分化して、実効性を高めるため、さらに個別の行政計画があります。例えば福祉であれば、高齢者や子育て、障がい福祉などの各福祉の個別計画が存在します。
 行政計画は改定を重ねていくものがほとんどで、素案に基づき、パブリックコメント(以下パブコメ)によって、市民意見を反映することとされています。ですから、日ごろ、生活に困っている事柄で、こういうサービスが足りないと思えば、パブコメを機会に意見を出して頂きたいと思います。パブコメは政治の市民参加の一歩です。
さて、現在、第4期逗子市障がい者福祉計画素案のパブコメ結果がホームページに掲示されています。
 今回の障がい者福祉計画について、パブコメの中で、日中活動系サービスの充実という内容があり、生活介護の利用者見込みが増えてはおらず、施設が増えないから利用見込み数が低く設定されているのではないか、実際は全然足りないのではないかという意見を出してみました。
これに対し、国の基本指針に基づき、サービス量の見込みを記載している、しかし、通所先の確保を総合的に対応していくと行政の回答があります。
 国の基本指針によって、サービス量の見込みを出し、それを地方自治体の個別計画に落とし込めば、仮に国が障がい者施設は今後、社会保障の財源が厳しくなるから基本指針として、施設を減らす方向にしようとすれば、市民は福祉の享受を、国の指針に左右されることになります。
 本来の行政計画の作り方として、私自身は、地域の実態をまず調査し、そのニーズに合わせた形で行政計画を作らなければ、行政計画の本来の意味がない、と訴えてきています。国の基本指針に基づくことは、中央集権化した行政の根源を作ることになり得ます。地方から国を作っていくとは、まさにこの逆です。地域のニーズに合わせ、自治体間で良好な政策を競い合い、より豊かな国へと発展していく、こうした流れが必要なのではないでしょうか?
自治体の行政計画の一端からも地方分権の実態をうかがわせる事例だと考えます。