令和2年第3回定例会 一般質問から①

令和2年第3回定例会が9月30日に閉会しました。私の一般質問の内容について取り上げます。

質問の一つは、携帯無線基地局設置に関する内容を取り上げました。今後、技術開発が進むであろう携帯電話通信の5Gに関わる問題です。

総務省が5G基地局の全国展開を前倒し、2023年度末の整備数を21万局以上にする計画を発表しています。5Gとは5thGenerationの略称で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5代目という意味です。この次の世代の移動通信システムとされる5Gの周波数は、大手携帯電話事業者に割り当てられており、2020年3月下旬から一部の地域で商用サービスが開始されました。5Gの特徴は、超高速、超低遅延、多数同時接続があげられ、産業用ロボットや交通システムの制御、解像度の高い監視カメラの一元管理も可能となるなど産業や社会インフラの幅広い分野での利用が想定されます。期待できる成長分野であるものの、すでに現在までの4Gの高周波電磁波にもリスクがあります。

全国に約756万人といわれる電磁波過敏症や健康被害による基地局の操業差し止めを求める訴訟が起きています。宮崎県延岡市の基地局操業に対する差し止め訴訟では、原告である住民側の健康被害を認めたにも関わらず、健康被害を訴えるほどの強度な電波ではないと、2015年最高裁は住民側の訴えを棄却し、原告の敗訴が確定しました。しかし、この裁判はこれまでの公害問題による裁判とは明らかに異なり、原告側に被害の立証責任を求めるという、異例の判決といえます。これに倣い、健康被害が確かなものではないとすることは実に危険だと思います。少し次元が違うのですが、健康被害の裁判事例として、思い起こされるのは、クロロキン網膜症訴訟です(平成7年)。クロロキン製剤は昭和35年から厚生大臣によって製造許可され、関節リウマチ、エリテマトードス、腎疾患、てんかんの治療に利用されていたのですが、クロロキン網膜症なる副作用が発生し、重症の場合は失明に至ることもまれではなく、昭和34年に症例が報告されたものの、昭和37年から昭和40年まで論文発表や症例報告されたものの、長期服用にまれに生じるものとの位置づけでした。昭和46年に薬効問題懇談会の答申をうけて、再評価に着手、昭和51年に腎疾患については副作用が上回る、てんかんについては有効とされる根拠がないと公表しました。しかし、最高裁はクロロキン網膜症の発生を防止するための措置をとらなかったことが、国家賠償法一条一項の適用上違法ということはできない。といいう判旨を出しています。このようにずっと後から健康被害が認められることがあります。

携帯電話による電波は周波数が高いほど電波が届く距離が短くなるため、5Gではスモールセルと言われる中継基地局が100m間隔で、高密度に設置されます。当面3G、4Gの基地局も併用されていきますが、生活環境の中で浴びる電波の強さは、従来と比べ2~3桁増えると予想されています。海外では、5Gの電波の安全性が確認されるまで導入を一時停止するベルギー、使用停止のスイス、アメリカカリフォルニア州の自治体でも住居地区における5G基地局設置禁止を決定し、2017年には36カ国180人以上の科学者と医師たちが、欧州委員会の当局者に対して、5G普及の一時停止を求める声明文を出すなどの動きがあります。

特定の産業や危険な場所での作業など、有効活用される可能性は否定できませんが、一般の人が生活の中で通信、データ利用する上で5Gが必要不可欠なのか、基地局による健康被害の研究を基に、リスクをも公開し、規制が必要な時期に来ています。

行政への質問として、基地局への対応はいくつかの市町で見られ、鎌倉市でも2010年鎌倉市携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例を制定、宮崎県小林市では、「小林市携帯電話等中継基地局の設置または改造に関わる紛争の予防と調整に関する条例」など他市の事例を示し、いかにして住民紛争を未然に防止するか、基地局の位置情報を公開させるかなど情報公開の仕組みを整える条例や要綱などの例規の必要性があると考えるが、これについての見解を伺ったものでした。

行政当局からの答弁は、健康被害は現在立証はされていない、民民間の紛争防止に介入する余地はないという、ばっさり検討外にあるというものでした。今後は市民のご意見を拝聴しながら、他市町村の事例を調査し、しかるべき提言を継続していきたいと考えます。