子どもの放課後時間は、親の仕事のカバーなのか? 海外との違いから

8/25(火)神奈川ネットでは厚労省、社会保障審議会 放課後児童対策に関する専門委員会委員、日本総合研究所の池本美香さんを講師に招き「子どもの放課後を考える」学習会を開催しました。子どもの権利条約が採択されて30年、働く親の増加に伴い学童保育利用総数はこの十年で倍増しました。日本の子どもの放課後の事情と諸外国の状況などお話を伺いました。

日本では放課後児童健全育成事業が制度化されたのは1997年、保育所の制度より50年遅れています。さらに2007年、放課後子どもプランによる放課後児童クラブのガイドラインが出来たものの、最低基準のないところから発足しました。2014年には女性の活躍の支援として学童保育のニーズを90万人から120万人まで増やす国策を掲げ、2015年子ども子育て支援新制度を経て、学童保育の対象は小3から小学生まで拡張されています。2019年現在の新・放課後子ども総合プランが出来、現在、全国に約33000箇所、利用数130万人、小学1年生の4割が学童を利用しています。また2023年までに152万人と、受け皿を拡大する方針です。運営主体は自治体が最も多く、次いで社会福祉法人、NPO法人、保護者会などが運営しています。1学童あたり40人前後の規模が最も多く、終了時刻は19時までが約半数、利用料は一人1万円以下が8割となっています。高所得であれば高額を払ってでもお稽古メニューなどのサービスを提供する民間運営に流れる傾向があります。利用する子どもの保護者の事情は短時間勤務制度がある人が3歳までで56%、未就学の始期までが15%と、就学を節目として、長時間労働につく保護者の姿が背景にあり(厚労省 雇用機会均等調査)、親のニーズに適応する形で学童が整備されてきた変遷があります。

この雇用環境は、欧州諸国と大きな差があり、学期内勤務(夏休みなどの長期休暇は働かないスタイル)など雇用主と交渉する権利が保障されている国があります。さらに海外での子どもの放課後が「子どもの権利条約」を重視している点を池本さんは指摘されました。遊びの保障を筆頭にスタッフの犯罪歴等のチェック義務、第3者評価制度、労働時間・保育時間の適正化が求められ、子どもの権利条約を順守する制度設計がなされているといいます。イギリスでは拡大学校の一部として学童保育を全校に整備、教育の生産性の観点から地域社会と協働し、遊び場道路の配置やおやつの自主選択、活動の自由度が高く、子どもはオーナーであり、パートナーであるとの考えから社交の場として位置づけられているとのことです。スウェーデン、フィンランド、フランス、ドイツの各国もオンブズマンの制度があり、子どもが放課後を過ごす環境が、子どもの権利条約がベースとなっている事例を紹介して頂きました。欧州だけでなく、オーストラリアでも、学童保育を「私の時間、私たちの場所」とスローガンを掲げ、子どもの権利を尊重した国の指針を明確に示しています。日本では、子どもの権利条約遵守の観点は薄く、少子化対策と母親の就労環境整備に偏重してきたことで、子ども本来の権利に配慮が欠けている印象をもちます。最後にコロナ禍での子どもの過ごす状況が悪化し、子どもの遊びの保障をできるのか課題である上に、家庭の経済事情・夫婦間関係の悪化などが起こりうる今、子どもの心にも一層の配慮が求められているとのお話を伺いました。従来の子どもを取り巻く諸課題がより浮かび上がり、子どもの暴力、いじめ、不登校は増加傾向にあります。また所得によって教育資金への投入するの金額の差が明白となっており、一層、政治の力が発揮されるべく、必要性を感じました。

本来、子どもは親の仕事をカバーするためのパートナー役ではありません。子どもは子どもの権利として、遊びの場や過ごす人や時間の使い方に、社会がより一人の人間として尊重すべき存在なはずです。