県内の海水浴場すべて開設できず コロナの夏の始まり

今年の夏は、神奈川県内25カ所の海水浴場がすべて開設できないことになりました。コロナウイルス感染症対策として県から示された海水浴場開設者に向けてのガイドラインでは、開設が難しいと県内各自治体が判断したことや、開設断念と次々と発表した自治体が出たことで、逆に開設すれば海水浴場には、来訪者が集中してしまう恐れがあり、すべての海水浴場が開設しないという判断に至りました。確かに県が示したガイドラインでは、実施が現実的ではない事由が掲げられていました。砂浜でソーシャルディスタンスを保つための目印を付ける、海の家の完全予約制、フェースシールドなどの対応などは熱中症リスクが高く、自治体や海の家を営業する海岸営業協同組合にとっても対応はできないものでしょう。市はそれでも逗子海岸を立ち入り禁止にすることはできませんし、海水浴場が設置されずとも海水浴をする人の安全をも担保するために、様々な施策は講じています。まず例年の海岸でのマナー条例に、コロナウイルス感染症対策を加えた、新型コロナウイルス感染症流行下における逗子海岸のマナーの向上に関する条例を提案し、6月22日、市議会にて全会一致で可決されました。この条例は、バーベキューなどの火気を使用する調理器具、飲酒(例年は海の家の中でのみ飲酒可)、入れ墨等の公衆の目に触れさせる行為、拡声機を使用しての音声、さらにコロナウイルス感染症対策として密集の状態を作ることを控えてもらうよう市の責務とするよう定めたものです。例年同様マナー条例のための、警備員の巡回を行い、逗子海岸の安全とマナーの向上に努める施策を行います。また、遊泳の区域として海水面にブイでコースロープを設置し(例年より縮小した範囲、沖へ50m、幅およそ300m以内)、マリンスポーツをする人と遊泳者との接触事故を回避するよう取り組むと共に、9時から17時まではライフセーバーが監視を行い、水上バイクなど暴走行為の警備や、海上保安庁へパトロールを要請しています。昨年の逗子海岸来訪者は33万人以上で、マナー条例による注意喚起も7259件ありました。今年はどこも経験したことのない、コロナウイルス感染症対策を講じての夏の逗子海岸になります。

コロナウイルス感染症対策や海岸における人身の安全対策は、自治体負担の中で行いますが、そもそも県が示したガイドラインの中身は開設不可能な構図であり、結果的には海水浴場が開設されないという結果に至ったことは、もどかしさをも感じています。地元の経済的な損失だけでなく、夏の風物詩として海水浴の楽しみを自粛する人が多く存在する夏になります。また海岸では海の家がないので、7月1日から8月31日まで全く飲酒ができませんから、公権力の行使という課題も浮かび上がります。感染症の対策や飲酒による水難事故対策は万全を期すことが期待される一方で、そもそも行政権力は、公共の福祉においてのみ制限ができ、言い換えれば、公共の福祉を犯すことがない範囲においては、個人の自由が尊重されることを原則として、私たちの社会は成り立っていると再認識する必要性を感じています。海岸は公共の場所なので、公共性として求められる一定の制限は必要です。しかし、自粛警察という言葉が飛び交うなど、大義名分の下に行き過ぎた監視社会に向かわないか、自由の尊重が失われない社会の普遍性をも見失なってはいけないと考えます。