介護保険の改定は、現状に即していない・・?

▼逗子市の高齢化率29%、介護保険制度の改定は大きな問題

 逗子市の人口に占める65歳以上の人口は、1万7千453人(平成24年1月現在)市内人口の約29%で、県内トップクラスの高齢化率となります。高齢化は、地域財政に直結する大きな問題です。そうした中、平成13年にスタートした介護保険制度が大きく変わろうとしています。

創設以来、見直しにつぐ見直しが続いていますが、平成27年の報酬改定に向け、来年、国会に改正案が提出される見込みです。今回の見直しでは、訪問介護サービスで調理・掃除・洗濯など、生活援助サービスがカットされるほか、比較的介護度の低い「要支援1、2」を介護保険サービスの対象から外される方向性も示され、高齢者が在宅生活を送る上で大きな影響が出ると予想されます。

 

▼逗子市の高齢化率と介護保険給付の状況

実際に逗子市の介護保険の認定者3741人のうち要支援認定者は、1155人、介護保険の認定者の約31%で、予防給付費は、全給付費の6%にすぎず、要支援の援助を介護保険の対象から外しても、大きな財政削減につながるとはいえません。むしろ、孤立化、重症化の傾向を生み、在宅での生活を困難にすることで、施設入居への移行が起こる可能性が考えられます。かえって、財政負担の増長が懸念されます。コストのかからない生活援助の充実により、費用の抑制を図る事を優先させるべきです。

 

▼自治体で制度の検証を

国は、団塊の世代が75歳以上となる10年後に向けて、「地域包括ケアシステム」づくりを推進していますが、財源をともなう具体的な制度は示されていません。今後、地域ケア会議の活用も進めるとしています。

しかし、まず地域包括支援センターの役割や課題を整理し、高齢者をめぐる地域の課題を捉えることが先決です。

 

▼現場の声を生かした介護保険制度の改定を

介護保険制度は40歳以上のすべての国民が「いざという時」のために保険料を負担しています。使えるかどうかわからないなどと制度そのものに対し、信頼を得られない状況になることは、制度の持続性が問われ、新たな問題を引き起こします。

さらに、全国的にみても、男性介護者が3割を超え、介護者の若年化が進んでいる状況や、仕事・子育て・介護とトリプルワークを抱える世代の課題もあります。

いかに支えるか、誰が支えるかが高齢者政策の重要課題であり、介護保険制度とともに社会福祉、地域福祉という保険制度とは別の側面からもセーフティーネットを考える必要があります。

逗子ネットでは、1996年から地域NPOや福祉生協と共に、制度では補えない暮らしを支えるため、市民事業と連携し、活動しています。誰もが安心して、老いても住みたいところに住めるまちづくりを目指します。