長期的財政見通しと人口政策 

2018年9月19日 10時53分 | カテゴリー: 活動報告

前回に引き続き、人口減少問題から取り上げたいと思います。

どの自治体も納税者層であるファミリー世帯の移住促進政策を推進しています。自治体にとっては、市税確保のために、重要な政策であることは間違いありません。しかし人口政策を目標値として掲げることと、目標人口で財政を推し量ろうとすることは別の視点です。逗子市においても長期財政見通しを2パターン作り、推計人口ベースと目標人口ベースがあります。これは総合計画の実施において、目標人口と財政をベースに施行されるべきという観点からこうした見通しを作成しているのですが、私は、もう人口減少社会の到来は避けて通れないことであることから、人口目標は移住促進政策として掲げるに留めるべきではと考えます。むしろ、財政上において重要なのは、人口減少が前提で土台となる視点をもつべきものなのです。よって、たとえば、人口減少幅を5~7%の減少スピードで見通したものと、7%~10%程度の減少スピードで見通すものなどの、2パターンで財政運営を見立てる方が堅実ではないでしょうか。

推計人口は絶対ではありませんし、少なかれぶれるものです。だからこそ国勢調査ベースに都度新たな分析が重要な指標になると認識すべきです。話が横だしになりますが、地方創生によって、逗子市には逗子市人口ビジョンが2016年に策定されました。この人口ビジョンの特筆すべき点は合計特殊出生率です。現在の全国の出生率は1.43で二年連続で低下しましたが、逗子市の出生率が2030年に1.7、2040年に1.97、2050年に2.07まで回復するという希望的観測数値が示されています。そもそも出産する女性の人口が減少する中でこうした数値が示されていることが疑問です。国が幼保無償化の導入や、私立高等学校の学費の給付に踏み切ることは少子化対策として有効だとしても、ここまでの出生率の回復に反映するか疑問であると同時に、人口誘致政策も各自治体が子供の医療費など無償化合戦によって近隣自治体との争奪戦と化すことも問題です。

そもそも人口誘致策は税収確保のためであって、各自治体が無償化を繰り広げれば、財政上の観点からみれば、共倒れにつながりかねない危機感を持ちます。さらに本来この国のどこで生まれ育っても子どもの生活を擁護し、生存権を担保するというあるべき姿から逸脱してしまうような自治体による格差と政策を取らざるを得ない現況は見逃せません。