高齢者の移動と外出を考える 学習会から

2018年8月6日 22時26分 | カテゴリー: 活動報告

神奈川ネットでは8/1「高齢者の移動と外出を考える」学習会をNPO法人 全国移動サービスネットワークの副理事長 河崎民子さんとかながわ福祉移動サービスネットワークの地域公共交通マイスターの清水弘子さんを講師に迎え、開催しました。

移動サービスは1972年町田市が運行を開始し、2018年現在、県内ではワーカーズコレクティブ団体等が実施をしており、県内各地で移動サービス事業者の広がりを見せています。学習会では福祉有償運送の制度設計の問題点、国の交通政策基本法(2013年)において、利用者本位が明記されて以来、住民の足の確保は自治体の責任としつつも、道路運送法や関連通達での強い縛りから、「地域公共交通網形成計画」の策定は全国で284件と地方自治体の動きは鈍いとの報告を受けました。また、外出頻度が歩行や認知機能に及ぼす影響など高齢者の生活と外出の相関性、趣味・ボランティア等の社会参加の割合が高い地域ほど、転倒や認知症、うつのリスクが低い傾向がみられるデータが示されました。

逗子市高齢者保健福祉計画の中でも、本計画の理念には、「人生を豊かに過ごすことができるような地域社会の構築を進めていかなければならない」と明記されています。具体的に市の重要な事業の位置づけ(リーディング事業)として「介護予防・日常生活支援総合事業」においても、「高齢者が自宅に閉じこもらずに地域の中で役割を有することで、介護予防と生きがいにつながるものであり、地域での社会参加の場が確保されることが重要」と示されており、外出が介護予防の観点からも重要視されていることは認識されているといえます。

現状の高齢者の外出の課題は、高齢者間の経済格差(買い物等にタクシーを使える人は多くない)があることや、高齢の独居・高齢者世帯のみの増加に対し、福祉有償運送での担い手と車両は運転手の高齢化に伴い年々減少しているなどがあげられます。総務省の推計で全国の買い物困難者は700万人とされていることからも、採算の合わないバス路線の縮小廃止による交通空白地帯、高齢者が独力で移動せざるを得ないケースが浮かび上がってきます。

今後、住民参加での外出の取り組みと担い手の裾野をどのように拡げていくことが可能か、他県他市の実践的な取り組みも踏まえ検討していくことが重要です。さらに福祉行政と交通政策が連携を強化し、住民の主体的な取り組みを育てるニーズと資源のマッチング(協働事業)が実施できるコーディネート役が期待されます。高齢者を含む交通弱者が引きこもりを予防し、地域のくらしの足の確保に動いた他市の実践を学びました。何気ない生活の一部である買い物や外出が人生を豊かにすること、人と会話をし、互いを気に掛ける気遣いがある日常の波及効果はまさにまちづくりの一部と、あらためて意識する問題だと考えます。