子育て支援の視野 家庭における経済格差を見つめる

2018年7月10日 11時14分 | カテゴリー: 活動報告

「保育園落ちた、日本死ね」の言葉がありましたが、国や自治体の子育て支援策といえば、今やその優先順位は待機児童に置かれています。しかし、働く親の環境整備をすることや、幼保の保育料の無償化議論が少子化対策の中心に据えられている現状には、子育て支援という幅広い政策において、どこか物足りなさを感じます。広い視野で子どもの育つ社会を見渡せば、子どもの貧困という問題が今、戦後日本の中で最も危機的な状況にあるのではないでしょうか。日本は一人親家庭の貧困率がOECD34ヵ国中、第1位になっているにも関わらず、国を挙げての抜本的な重点政策や法整備が進められていません。
例えば、子どもの育ちに欠かせない養育費一つとってみても、離婚した相手側の保護者から養育費の支払いを受けている親権者は2割、8割が不払いという、所謂逃げ得を許す実態が横行しています。なぜ、このようなことが起こりうるのか法的整備の観点から分析してみます。
1、強制執行の落とし穴

養育費の不払いの相手方に対し、差押の強制執行を行うには、地方裁判所に債権(養育費のこと)差押命令申立を行います。この際、申立には、執行力のある債務名義の正本と、同送達証明書を添付します。これはあらかじめ、強制執行したい相手方に養育費の不払いがあることを調停離婚の際の調書や公正証書の正本を送付しておき、取り立てを催告し、執行するという民法の慣習に則ります。しかし、これが強制執行の予告になることから現金を口座から引き上げする実態を可能にし、強制執行の避難先を与えているに過ぎません。悪意を持って、養育費の支払いを逃げる相手方に対し、こうした実行力の乏しさが養育費不払いの横行になることに対抗措置が必要です。

2、勤め先や知られている銀行口座からの預金回避

通常、養育費不払いの離婚した相手方が子どもの親権者に対し、転職後の勤め先を知らせることは、養育費の差押えを逃れるため、まずありません。このため、強制執行するには高額な探偵事務所を通じて、勤め先を調べるか地方裁判所に財産開示手続きの申立を行います。しかし、この財産開示請求は前にも書きましたが、ザル法でほとんど利用されていません。そもそも3年に一度しか使えないこの制度(民事執行法197条3項)は、罰金が最大30万円、罰金の判決さえ出ることも決まっているわけではないことから、裁判所の呼び出しに対し、欠席をする債務者が後を絶たないのです。そもそも養育費が子ども一人3万円として、よほど罰金判決の方が安あがりです。財産開示手続きの実行力を持たせるためには、自治体の課税情報の給与支払者を開示することや全金融機関の口座情報を開示させる義務を負わせるなどの手段を講じなければ、何らの意味がありません。養育費不払いは子に対する経済的な虐待であることを国は強く認識するべきです。公正証書や裁判調書の判決が強制執行の際の有効な手段となるよう法整備を早急に進める必要があります。

子どもの政策は、少子化対策のみならず、そもそも子どもがどういう環境に生まれ育っても幸せになるよう後押しをする広い視野が望まれています。家庭のモデルがいつまでも国の制度設計の視点で夫婦世帯と子どもというばかりでないことを、自覚するべきなのです。