自治体財政運営のリスクとは 見落としがちな公債費の金利

2017年11月10日 14時08分 | カテゴリー: 活動報告

すでに広報ずしでも掲載がありましたが、周知の通り、逗子市は現在緊急財政対策本部を設置し、財政対策を行っています。31年度まで集中対策期間とし、早期に安定化を図っています。

これまでにも、一般質問・代表質問等を通じ、議会での質疑や本HPにも財政の問題を指摘してきました。自治体の財政というと、その財政上の運営リスクは、少子高齢化社会による社会保障費の増加と市民税の減少、公共施設の老朽化は、必ず取り上げられます。しかし、もう一つ見落とされがちなのが、市債(市の借金)に対するリスクマネジメントです。

本市の財政は平成28年度決算で、公債費比率が10.2%と、経常一般財源に占める公債費の比率は10%以内が望ましいとされているところ、28年度から10%を僅かに超えています。市債の額は一般会計と下水道事業特別会計の残高合計が約231億4390万ですから、市民一人当たり40万3千円くらいの借金をしている計算になります。(※臨時財政対策債残高94億4千万円を含む。臨財債は国が交付税として実質的には後払いする。臨財債を除く債務残高は約137億円、市民負担一人約23万9千円)

市債は、事業の目的によって借り入れますが、5年から20年位の期間で返済していきます。28年度を取り上げますと43の起債があり(繰越分は除く)、利息はだいたい0.01~0.3%ほど、返済期間は平均13年程度です。下水道や大型の公共施設は20年以上の返済期間が多いのですが(利率は10年毎に見直し)、通常は10年程で償還しては、また新たな借り換えを行っていきます。

見落とされがちな問題は、借金である以上、金利がいつまでも現在のような低金利のままなのかという点です。確かにバブル経済が破綻してから、ゼロ金利政策やマイナス金利など、超低金利による経済成長策が久しく続いています。しかし、米国の連邦準備制度(FRB、米国の中央銀行)や欧州中央銀行(ECB)が量的緩和政策の終止符を視野に、金利上昇に踏み切ったように、日本においても大量金融緩和による出口政策によって、利上げはいつか到来するはずです。今の市債が償還し、新たな起債が必要になった時に、既発債より高金利になっていれば、今度は利息が財政を痛めるのです。このような問題は当然、国と県にも言えることです。実際に、内閣府が公表する「中長期の経済財政に関する試算」の経済再生ケースの中でこう記しています。「2024年度以降長期金利が名目GDP成長率を上回り、低金利で発行した既発債のより高い金利による借り換えが進んでいくことに留意が必要である」 このことから、経済が上向けば、長期金利が引き上げられ、その分負担する利息が高くなる可能性を示唆しています。平成28年度逗子市の一般会計での市債残高は192億3千万で、元金18億、利息1億6千万円を返済しました。市債残高に対する利息率は0.9%です。しかし、もし仮に金利の上昇を目標物価上昇率と同じ2%で市債を返済したとすれば、28年度の市債残高に対する利息は3億8千万円。約1%程の金利差で2億近い利息が生じてきます。

そのためにどうすべきか、来る金利リスクに備え、一刻も早く、できる限り財政調整基金を貯めることがまず第1です。さらに依存財源が6割とはどういうことか、実は国と財布を一緒にしているという実感を持ち、国債の状況、日銀の政策を見測り、中長期的な市債の金利リスクによるマネジメントを図ることが必要です。最後に、リスクを回避するには、依存財源比率を下げ、自主財源比率を引き上げる自治体財政運営においての施策を諦めてはいけない と考えます。