少なすぎる預金 財政調整基金について

2017年8月7日 16時06分 | カテゴリー: 活動報告

逗子市の財政が過去10年ずっと黒字計上をしてきたにも関わらず、危機的状況に至った要因として、財政調整基金の乏しさが浮かび上がります。(27年度決算、実質単年度収支額、財調基金への繰入調整後、3億5800万円の黒字)

財政調整基金の役割は、地方公共団体の健全な財政運営を確保するために設置した積立金で 、経済事情の変動等による減収、災害により生じる予期せぬ支出を埋めるなど、いわゆる不足の事態に備える預金です。この基金の適正規模は※標準財政規模の10%とされており、逗子市の標準財政規模は27年度で118億ですから、その10%で11.8億、現時点では10億近く足りません。また平成22年度以降、財政調整基金は標準財政規模の約4.8%~6.6%で推移しています。このことからも預金への積み立て不足は、昨今の事由ではなかったことが見えてくるのです。

なぜ、早期に是正が働かなかったのかを考えてみます。当然に国の制度下で受託されている事業に伴う支出が増える中、自治体として抜本的な解決方法が見い出せず、その意味において妙策はありません。別の視点では、財政を評価する上で、国に定められている財政指標がどこまで警告をならせるかという問題です。例えば、経常収支比率を取り上げると、財政調整基金を始めとする預金であるストックの増減は問わず、収入・支出の内容も問わないという弱点があります。実質公債費率についても、臨時財政対策債などの債務は算定要件としないことから将来の国の制度設計によって振り回される不安要素を持っています。さらに、それぞれの診断が財政診断指標として単年度では充分ではないなど、各財政指標の性質を捉え、指標評価の感性を磨くことが求められています。

民間企業が会計上は黒字であるにも関わらず、資金繰りに行き詰まる黒字倒産という実態があるように、手持ち資金がいくらあるかという要素は経営上不可欠です。自治体財政の自動安定装置としての機能を図るには、財政調整基金の積み立てが、可及的速やかな行財政改革の課題であるに違いありません。少なくとも経常経費が高い本市では、一般会計歳出規模の5%以上、最低でも9億は財政調整基金の残高として蓄えておく必要があるとの私見をもちます。加えて危険指標を自主的に管理できる財政健全化計画の策定が重要です。

 

※標準財政規模=自治体の標準的な税収入額に交付税を加算した額