道徳の時間について 教育基本法の改正点から

2016年8月20日 15時59分 | カテゴリー: 活動報告

教育基本法の改正については以前にも掲載しましたが、その改正点は実際に教育現場でどのように反映されているのでしょうか?

公立小学校で使用されている文部科学省発行の道徳のテキストを手に取りました。「私たちの道徳」という小学校5、6年生向きの冊子には、写真のような頁があります。教育基本法の改正にあらたに加えられた、第2条第5項の郷土を愛する と明記された点、また第10条の家庭教育について 保護者を子どもの第一義的責任と位置づけ 養育者として道義的責任を重視した点は、そのまま反映されていることが分かります。

 

「家族の幸せを求めて」と題された頁には「どこにいても私の心を支えてくれる。(中略)大切な家族のために私は何ができるのだろう」等の記載があります。しかし、すべての子どもが家族に見守られて、適切な環境の元で擁護され、家族関係に問題がないわけではないことは一考したいと思います。

日本では今、虐待死する子どもが年間50人以上います。週に一人は日本のどこかで虐待死が起きているという凄惨な現実があり、そこに至らずとも子どもの虐待対応件数は全国で年間6万6千件(2012年)と深刻な状況にあります。被虐待児が道徳の時間にどのような思いで、自己を受け留めるのだろうかと気になります。

道徳の時間の必要性は否定できませんが、一定の価値観や規範意識の押しつけが、疎外感を持たせるなどの危険性、国の考えを子どもに植え付けてしまった戦前の道徳の反省点があることは常に意識すべきことだと考えます。

第二次安倍内閣は、いじめ問題が深刻な状況であり、道徳教育の重要性を認識し、充実を図るとして道徳の時間を教科化することを、2013年教育再生実行会議にて提言しました。主な改正として、道徳の時間を「特別の教科 道徳」としたこと、検定教科書の導入が挙げられます(改正学習指導要領は小学校は2018年から、中学校は2019年から全面実施)。道徳の教務課によって、目的とされるいじめ問題は、抜本的に解決するか、それよりも少人数学級や個々に対応するきめ細やかな指導のための人員に予算を付ける方が効果的でないかといった視点も伏せ、注視していくべき教育の重要な問題だと捉えます。